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― 防府の巨樹・巨木 ―

New07-12-04・・
防府の巨樹・巨木・・・おわりに・・・

New
07-12-04・・防府の巨樹・巨木
防府市西部の樹木・大道地区

07-11-27 UP
防府市西部の樹木・右田地区

07-11-20 UP
防府中部の樹木
(防府中部南)向島・・野島


07-11-12 UP
防府中部の樹木(防府中部南)
三田尻周辺・防府南部のソテツ・西浦・中の関


07-11-06 UP
防府市中部の樹木(防府中部中)
兄部家のソテツ・戎ヶ森の樹木群・桑の山周辺


07-10-29 UP
防府市中部の樹木(防府中部北)
久兼・赤山の山下家のイヌマキ
防府天満宮


07-10-22 UP
防府市中部の樹木(防府中部北)
国分寺・奥畑麻生のクロガネモチ


07-10-15 UP
防府市中部の樹木(防府中部北)
    町田家のウメ・極楽寺
07-10-08 UP
防府市中部の樹木(防府中部北)
      毛利邸と佐波神社

07-10-01 UP
  防府市東部の樹木(牟礼地区)

07-09-24 UP
   防府市東部の樹木(富海地区)

07-9-14 UP
      はじめに     


 過去の特集記事

07-5-22 UP
・・・茜島シーサイドスクール事業(野島小・中学校)

07-5-4 UP
・・・野島で活躍する防府市のニューフィッシャーマン第一号

07-4-12 UP
・・・・・・・・防府市の素敵な文化人

07-2-10 UP
       ・・・イチゴ栽培への挑戦

   

 

防府の巨樹・巨木

                                              防府市青少年科学館
                                              専門員  野村 勝一

        防府は気候温暖な地であり、多くの種類の樹木が生育している。特に歴史の古い町
       で、名所、旧跡が多く、そこには多くの樹木があり、中には天然記念物に指定されるも
       ので、目通り幹囲9mを超えるクスノキ、高さや伸びた枝の長さで日本一になる見事な
       樹木もある。これらの樹木の中で巨木に類するものや、それに準ずるものを報告する。

1 はじめに
 防府は植物分布帯の中では暖温帯に属し、原植生はカシ類、クスノキ、タブノキ、ツバキ等を中心としたツバキクラスの照葉樹林である。 
しかし、この地方は、古くから文化の開けた地で、早くから多くの人が住み、自然に手を加えてきた関係で、原植生は見られない。わずかに右田大崎の玉祖神社の社叢林にその面影を残している程度である。山地はコバノミツバツツジーアカマツ群集によって特徴づけられる植生であるが、防府地域の山地には、あらゆるところに人の手が加わり、伐採が繰り返されたため巨木やそれに類するものは見られない。
   また、市内各所の名所・旧跡には手厚く保護されてきた樹木が多く、幹囲9mのクスノキや幹囲7.2mのイチョウの巨樹、枝を30m以上も伸ばしたゴヨウマツ(写真1)も見られる。この写真1 臥竜の松(ゴヨウマツ)調査ではそれらの巨樹・巨木について報告する。



2 巨樹・巨木の生育地としての防府
太古以来、人々は自然の中で生活し、自然から多くの恵みを受け、ときには大きな災害を蒙りながら自然と共存してきた。そのような生活の中から、人々は自然を人の力の及ばぬものとしてあがめ、おそれ、神として祈るようになり、神社ができてきた。そうして、人々は身近にある巨樹・巨木をも自然の象徴として敬い、大切にするようになり、神の宿る森として社叢林ができてきたのである。
 近年、巨樹・巨木がブームとなり、樹の大きさだけがもてはやされる傾向にある。樹木には、ここまで生きてきた歴史があり、巨樹・巨木に育つまでの環境が大きく関係している。従って、巨樹・巨木を見るとき、樹木の大きさを見るだけでなく、樹木が育ってきた歴史や環境の変化を読み取っていくことが大切である。
 また、植物は光合成のため、二酸化炭素を吸収し、酸素を放出している。そのため、二酸化炭素の吸収時には大気中の有害な気体等も一緒に吸収され、大気の浄化にも役立っている。吸収された二酸化炭素は、植物体を作る原料になり、植物体内に固定される。なかでも樹木は、二酸化炭素の固定量の最も大きなもので、二酸化炭素のカンズメと考えることもでき、大気中の二酸化炭素の調節に大いに役立っている。
  この地方の原植生は、照葉樹林帯であるため、カシ類、ツバキ、クスノキ、クロガネモチ、タブノキ等から構成されるツバキクラスの照葉樹林である。しかし、古くから自然に手が加えられたため、照葉樹林は見られなくなり、アカマツを優占種とした二次植生のコバノミツバツツジーアカマツ群集が山地の植生の中心となっていたが、昭和30年代の「まつくい虫被害」で、沿海地のマツは壊滅状態となり、アカマツ、クロマツは数少なくなった。わずかに公園、神社等に残っているだけである。
  照葉樹林の構成樹種のうち、大部分は市内各地の神社やその社叢林にあり、クスノキの大きなものは、目通り幹囲9mに達するものもある。クロガネモチは目通り幹囲3.5m、高さ30mに達するものも見られる。
  また、市内には、瀬戸内海国立公園の西端に位置する離島の野島がある。ここは岩質が本土側とは全く違い、領家変成岩からなっている。土質は褐色森林土である。植生は本土側と違い、島独特のものとなっている。その一つの例として、この地方の照葉樹林の重要な構成樹種であるアラカシとクスノキが欠ける特徴を持っている。
  今回の調査で市内各地に巨樹・巨木が多く見られた。これは、防府市にそれだけ豊かな自然を残しているということを示しているものである。この報告書では、防府市を大平山周辺を中心とする東部、防府平野の中央の佐波川までを中部、佐波川より西を西部として、それぞれの場所に生育する巨樹・巨木を紹介する。


 

防府市東部の樹木(富海地区)

防府平野の北東部には、標高631mの大平山がある。山地の植生は、コバノミツバツツジーアカマツ群集であるが、アカマツは昭和30年代の「まつくい虫被害」で壊滅状態となり、僅かに山頂裏に目通り幹囲2.5m〜3.0mのアカマツの樹林が残っている。しかし、最近、このアカマツも「まつくい虫被害」が目立ち始め、危険な状態にある。
  また、大平山は、あらゆる場所に手が加えられているため、巨樹・巨木に類するものは見られない。西側山麓に原植生に近いスダジイの樹林が見られる程度であり、樹林内のスダジイは、大きなもので目通り幹囲2.0m前後である。巨樹・巨木に類するものは、神社やその社叢林、旧家等に残されている。これらについて、大平山南山麓の富海地区と西山麓の牟礼地区の巨樹・巨木を紹介する。

(1) 富海地区
富海は大平山南山麓の海岸沿いに位置している。三方を山に囲まれ、市内でも一番降雪の少ない所である。山地は黒色片岩であるため、土質は褐色森林土となり、樹木の生育には適した地である。

@ 光福寺のソテツ(そてつ科)
光福寺は、現在、無住の寺であるが、地区の人々によって管理されている。
  写真2のソテツは、地上1mのところの幹囲3.0mで、高さ4.0m余りある。このソテツは単木であり、単木でこれだけの大きさのものは珍しく、ソテツとしては稀に見る巨木である。
  現在、ひこばえが多く出て株立ちのようになっている。樹全体に傷みが出てきており、心配される状態である。単木でこれだけの大きさのソテツは全国的にも珍しく、是非大切にしていきたい樹木である。

写真2 光福寺のソテツ

A 吉武家のソテツ(そてつ科)
吉武家は、富海の永代庄屋であった家で、その屋敷で7~8mにそびえ立っていたといわれている。現在、このソテツはそれだけの高さは無く、ひこばえが多く出て、大きな株立ちとなり、全体の周囲は18.4mある。株があまりにも密集しているため、株数を数えることや測定は困難な状態である。測定できる範囲内では、幹囲1.0m内外のものが多い。高さは4m余りであるが、全体に巨大なソテツの株を形成し、見事なものであり、大切にしていきたい樹木の一つである。

写真3 吉武家のソテツ


B 君津神社
   君津神社は地区の氏神様として、人々の厚い信仰を受け、代々大切にされてきた神社である。境内や社叢林には、スダジイ、モッコク、エノキ等がある。以前はクロマツもあったが、「まつくい虫被害」ですでに枯死し、スダジイを中心とした樹林が残っている。
 写真4のスダジイは、西端にあり、単木で目通り幹囲3.9m、高さ10mある。幹には傷みも無く、樹勢も盛んである。写真5のスダジイは、根元から横に伸びている。幹にはかなり傷みが見られる。目通り幹囲4.1mで、単木では、この社叢林で一番大きなスダジイである。写真6のスダジイは、かなりの古木で、幹周りに多くの傷みが見られる。また、ひこばえが多く出ており、幹囲の測定困難である。ひこばえ等すべてを含めた地際幹囲7.8m、高さ9mである。
 写真7のモッコクは、境内の北側にあり、目通り幹囲1.7m、高さ8mある。写真8のモッコクは、境内の中央にあり、目通り幹囲1.7mある。目通り幹囲1.7mのモッコクは、モッコクとしては相当の巨木である。写真9のエノキは、本殿裏、境内の南端にある。目通り幹囲2.9mであるが、樹林の中にあるため幹の太さの割りに背が高く18m余りの高さとなっている。この社叢林は、スダジイによって特徴づけられる貴重な社叢林であり、是非残しておきたい社叢林の一つである。



写真4 スダジイ1      写真5 スダジイ2               写真6 スダジイ3
      (ぶな科)            (ぶな科)                     (ぶな科)

写真7 モッコク1         写真8 モッコク2        写真9 エノキ
      (つばき科)           (つばき科)           (にれ科)


 

防府市東部の樹木(牟礼地区)

(2) 牟礼地区
@ 阿弥陀寺
牟礼地区は大平山の西山麓で、山地が花崗岩帯であるため、土質は真砂土であり、樹木の生育には比較的厳しい環境である。巨樹・巨木に関するものは、山麓の神社、寺院、旧家にある。これらの内、特徴のあるものを紹介する。
  写真10のヤマモモは常緑高木で、本州中部以南に生育し、海岸近くに多く見られる樹木であるが、公園や庭にも植えられる樹木である。初夏、紅紫色の核果をつけ、甘酸っぱい味がし、食べられる。  
このヤマモモは、スダジイの樹林内にあり、目通り幹囲3.9m、高さ15mで県内最大のヤマモモである。
幹には腐朽によりかなりの傷みも見られるが、現在も初夏には実をつけ、樹勢は盛んである。ヤマモモとしては、全国的にも巨樹に入る大きさであり、推定樹齢400年くらいである。また、照葉樹林の極相を作る陰樹のスダジイの樹林の中で、これだけ長生きできるのは稀で、大切に見守っていきたい樹木である。
 写真11のソテツは、阿弥陀寺の境内にあり、ひこばえが成長し、おおきな8本の株となっている。主幹の幹囲1.2mある。ソテツの周囲には石囲いがしてあり、手入れもよくされ、幹には腐朽も見られず、樹勢は旺盛である。このソテツは庭の中での配置がよく、周囲の景観にマッチした見事なソテツである。
 写真12のケヤキは、山地に生育する日本の代表な落葉高木のひとつで、庭木、公園樹、街路樹としてもよく植えられている。特に関東地方に多い。寿命は、大変長い樹で、天然記念物に指定されている樹も多くある。

防府は照葉樹林の発達するシイ帯である。ケヤキは少し内陸部のクリ帯でよく生育する樹木である。従って、防府はケヤキの生育には適さない。しかし、このケヤキは目通り幹囲3.6m、高さ16mある。この地でケヤキがこれだけの大きさに成長することは稀で、是非大切にしていきたい樹木の一つである。


写真10 ヤマモモ(やまもも科)   写真11  ソテツ(そてつ科)    写真12 ケヤキ(にれ科)

 写真13のホダイジュは、中国原産の落葉高木で、九州に持ってこられたものが寺院などを中心に全国に広がっていったといわれている。
 このボダイジュは、目通り幹囲1.7m、高さ12mで、形の良い見事な樹形をしている。ボダイジュは個体数が少なく、他の樹木に比べると小さいが、ボダイジュとしては相当な巨木といえるであろう。
また、山口県には、岩国錦の宇佐、常国にボダイジュと同属のマンシュウボダイジュの自生地がある。マンシュウボダイジュは、日本では山口県にだけ自生している大変貴重な樹木である。
 秋の紅葉を代表するイロハカエデは、各地の山地にごく普通に見られる落葉高木であるが、人家にもよく植えられ、多くの人々に愛される樹木の一つである。
 写真14のイロハカエデは、地上0.5mの幹囲2.4m、高さ7mである。相当な老樹で、幹に腐朽が見られ、地上1.5mあたりで2分岐し、北と西に伸びている。樹の腐朽状態等から、推定樹齢300年くらいであろう。この樹の奥には、この樹よりやや小さいもう一本のイロハカエデがある。

イチョウは、中国原産の落葉高木で、日本には朝鮮半島を通じて、今から1500年前入ってきた樹木である。従って、日本には樹齢1500年を越える樹は存在しない。
  写真15のイチョウは、目通り幹囲4.0m、高さ12mある。幹に白蟻駆除の時の空洞があり、中に観音像が収められている。幹に傷みは見られるが、樹勢はまだ盛んである。


写真13 ボダイジュ(しなのき科)  写真14 イロハカエデ(かえで科)  写真15 イチョウ(いちょう科)

A 春日神社
   春日神社は、牟礼地区の氏神様として昔から信仰されてきた神社である。社叢林は、スダジイ、アラカシ、タブノキ、ツバキ等の照葉樹林を形成しているが、スダジイが優占種となっている。樹林は極相に近い樹林を形成しており、この地方の樹林の植生をよく現した社叢林ということができる。
  樹林内は、樹木密度が大きいため、目通り幹囲3mを超える巨木は見られず、樹木は、比較的短い周期で更新されているようである。
  写真16のスダジイは、目通り幹囲2.5m、高さ15mで、写真17のスダジイは、目通り幹囲2.7m、高さ20mある。


      写真16 スタジイ1(ぶな科)          写真17 スタジイ2(ぶな科)

B 秋山邸                            
スダジイは、ぶな科の常緑高木で、日本列島では中部地方まで分布している。シイには、2種類あり、比較的海岸近くにスダジイ、山間地にコジイと住み分けている。一般的には、コジイは寿命が短く、スダジイは長い。そのため、巨樹・巨木になるのはほとんどがスダジイである。
  写真18のスダジイは、目通り幹囲5.6m、高さ10mで、スダジイとしては稀に見る巨樹である。幹にはかなりの傷みが見られるが、樹勢は盛んである。写真19のスダジイは、目通り幹囲4.9m、高さ16mである。このスダジイは、竹薮の中にあるため、あまり人目につかないが、防府市内最大級のスダジイである。


      写真18 稀に見るスタジイの巨木         写真19 防府市内最大級のスタジイ

 

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防府市中部の樹木

中部は、佐波川によって作り出された新生代第四紀の地層で、県内一の防府平野の中心である。平野の北部の山地と接する辺りは、花崗岩帯であり、土質は真砂土を中心とするもので、保水力に乏しく、貧栄養の土である。山口徳地との隣接部は、周防変成岩に属する泥質片岩で、土質は褐色森林土であり、樹木の生育に適している。南部海岸線の向島も周防変成岩に属する泥質片岩で、土質は褐色森林土である。
また、瀬戸内海の離島、野島は、本土側とは全く異なる領家変成岩に属する黒雲母片岩で、土質も本土と異なり、保水力・栄養分に富む土となっている。

(1) 防府中部 北

@  毛利邸と佐波神社
毛利邸は、明治25年、毛利藩主邸宅として、井上馨によりこの地が選ばれ、当時、日本有数の庭園設計者であった作間金太郎によって作庭されたもので、周囲の景観とあわせ250種の樹木が植えられており、四季折々の風景の楽しめる見事な庭園となっている。この庭園と毛利邸周辺や佐波神社の樹木を紹介する。



写真20 ダイオウマツ(まつ科)  写真21 スダジイ(ぶな科)  写真22 ウメ(ばら科)


写真23 ハゼノキ(うるし科)  写真24 ヤマモモ(やまもも科)  写真25 ソテツ(そてつ科)

写真20のダイオウマツは、北米東海岸に生育する樹木で、暖地で栽培されることの多い常緑の高木である。北米では、高さ30mを越えるものもあるが、日本ではそれだけの大木はない。樹は枝の端に長い葉が筆状に集まって下垂する特殊な形をしている。葉は3葉が束生し、3〜4年生存する。長さは40cm余りになる。このダイオウマツは、目通り幹囲2.6m、高さ17mであり、ダイオウマツとしては相当の巨木といえる。
 写真21のスダジイは、照葉樹林の主要な構成樹種の一つである。この庭園では、剪定により形が整えられているため、本来の樹形とは異なっているが、幹まわりに縦の割れ目が目立ち、スダジイの特徴をよく現している。大きさは、目通り幹囲2.8m、高さ5mである。
 写真22のウメは、巨樹とはいえないが、年代を感じさせる古木である。主幹にはかなりの傷みが見られ、周りに多くのひこばえが出て株となり、株立ちの感がある。幹囲は測定困難であるが、ひこばえを含めた根周りは2.1m、高さ5mである。樹のそばには、貞明皇后遺愛の梅と記されており、大切にされている。
 写真23のハゼノキは、2m余りのところで主幹は腐朽して折れ、枝が横に出ているため、高さは5m余りである。地上1.0mの幹囲2.2mある。ハゼノキは藩政時代、防長四白の一つの蝋をその実から採っており、その関係で庭園樹に加えられたのかもしれない。
 写真24のヤマモモは、作庭にあたり近くの山地のものが使われたものと思われるが、地上0.6mの幹囲2.6m、高さ7mにまで成長するまでには、相当な年数を経ている。このヤマモモは、0.6mあたりで2分岐しているが、単木である。また、剪定等で整形されているため、幹の太さの割りに高さは低いようである。庭内には、他に幹囲2.2m、2.0mのヤマモモもある。
 ソテツについては、記録によると、玄関前に大きなものがあると記されている。現在もそこにソテツはあるが、ごく普通の大きさで、その名残を残すのみである。
 写真25のソテツは、屋敷内の庭にあり、根周り3.4m、高さ5mある。このソテツは庭いっぱいに広がり、見事な形をしている。


写真26アカマツ(まつ科) 写真27イロハカエデ(かえで科) 写真28ヒメユズリハ(とうだいぐさ科)

写真26のアカマツ、27のイロハカエデ、28のヒメユズリハは、表門から邸宅までの道のまわりにある。アカマツは、この地方の山地の主植生であるコバノミツバツツジーアカマツ群集の優占種である。また、アカマツは、建築材、燃料に利用されていたため、大きくなる前に伐採され、巨木として残ることはほとんどない。写真26のアカマツは、目通り幹囲2.3m、高さ18mある。自生状態でこれだけの大きさのアカマツは珍しく、貴重なものである。
  写真27のイロハカエデは、道のまわりにかなりの本数が、比較的自生状態に近い形で植えられており、秋には見事に紅葉し、人々を楽しませている。イロハカエデの大きさは、目通り幹囲1.7m、高さ12m余りである。
 写真28のヒメユズリハは、本州中部以西の海岸近くに多い常緑の高木である。高さは普通3〜10mくらいである。このヒメユズリハは、目通り幹囲1.9m、高さ15m余で、ヒメユズリハとしては相当の大木である。
 これらの樹木のまわりには、アラカシ、クスノキ、クロガネモチ、スダジイ等の照葉樹林が形成されている。これは、ここに毛利邸が作られて以来、必要以上に手が加えられなかったため、この地方の自然状態の樹林ができる環境が残り、本来の植生に近い樹林が見られるようになったものである。これだけの自然状態を残す樹林は珍しく、是非残していきたい樹木群である。


写真29 毛利邸前、松並木          写真30 毛利邸前の    写真31 佐波神社の
                            クロガネモチ(もちのき科)      ソテツ(そてつ科)

写真29は、毛利邸表門前の松並木である。全長200m余りあり、道の両側にクロマツが並んでいる。クロマツの大きさは、目通り幹囲1.4m前後、高さ4m余りのものが多い。中にはアカマツも混ざっており、ときには間にイロハカエデが植えられている。クロマツの大きなものは、幹囲1.6m、高さ5mに達するものもみられ、全体に見事な松並木となっている。現在、各地の街道松が姿を消した中、この松並木は貴重なものであり、文化遺産として残して欲しい松並木である。
 写真30のクロガネモチは、毛利邸前、市道の川のそばの石垣にある。目通り幹囲2.1m、高さ8mで、樹としては巨木ではないが、石垣の間から出ているため、根は岩のようになり、石垣に張り付いている。この状態は、樹木の生命力の強さの一面が現れたもので、見る人に感動を与えるものである。樹としては巨木ではないが、この樹の生命力を是非多くの人に見て欲しいものである。
 写真31の佐波神社のソテツは、ひこばえも含めた全体の根周り6.3m、高さ7mある。株は大きく2つに分かれ、西側の株の主幹は、2.2m、東側の主幹は、1.9mである。どちらの株も主幹の周りに多くのひこばえが出て、大きな株となり、樹勢は極めて盛んである。そばには神社の鳥居があるが、ソテツはその上に出ており、その姿は壮観である。

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A町田家のウメ

写真32のウメは、目通り幹囲2.2m、高さ3.5mで、根元で2分岐している。県内で、これだけのウメは他になく、ウメとしては稀に見る巨樹である。
  樹の状態から、2本の合着木といわれているが、推定樹齢350〜400年と考えられるが、まさに古木の風格がある。県内には、柳井市余田に国の天然記念物の臥竜梅があるが、本体は既になく、臥竜梅の2代目となっているため、樹そのものは町田家のウメのほうが大きく、見事である。
  しかし、最近の下水道工事で、樹のすぐそばが掘られたため、このウメは枯死寸前の状態となり、その状態が心配されている。早急な対策を執り、是非残して欲しい樹木の一つである。

写真32 ウメ(ばら科)

B 極楽寺


写真33 クスノキ        写真34 イブキ(ひのき科)  写真35 イブキ(ひのき科)
(くすのき科)            山門東            山門西

写真33のクスノキは、目通り幹囲5.0m、高さ20mある。このクスノキは8m余りのところで、枝を放射状に出し、幹を中心に直径30m余りに枝を張り、見事な樹形をしている。幹の状態から内部に空洞はできていないようであり、推定樹齢は250〜300年くらいであろうと考えられる。このクスノキは、周囲の環境の中にうまく溶け込み、大きさの割には目立たないようになっている。また、台風等の影響も少なく、傷みがほとんど見られない樹である。
写真34、35のイブキは、山門の両側にある。写真34の東側のイブキは、目通り幹囲3.1m、高さ9m、写真35のイブキは、目通り幹囲2.7m、高さ8mある。両イブキとも、幹の表面の縦のひだが極端で、そのひだのため、東側のイブキは合着木ではないかと思えるほどである。しかし、両樹とも樹勢は盛んで、山門の両側に堂々とした姿でたたずんでいる。

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C 国分寺


 写真36 ソテツ(そてつ科)        写真37 イヌマキ      写真38 クロガネモチ
                          (まき科)             (もちのき科)


写真39 モッコク       写真40 クスノキ             写真41 ケヤキ
   (つばき科)        (もちのき科)                (にれ科)

写真36のソテツは、大きな2つの株からできており、東側のものは、ひこばえも含めた地際が5.0m、高さ4.5mで、西側のものは地際4.8m、高さ4mある。両方とも多数のひこばえが出て、大きな株となり、両方が近くにあるため、1つの株のように見える。このソテツは寺伝で樹齢800年と伝えられており、相当な年代のソテツということができる。
 写真37のイヌマキは、目通り幹囲2.9m、高さ13mで、イヌマキとしては県内有数の巨木である。通称千年マキと呼ばれ、幹にはイヌマキ独特のよじれも見られるが、数年前剪定が行われ、イヌマキの特徴の一つである枝の枝垂れた状態が見られなくなったのは残念である。境内には幹囲2.4m、高さ12mのものもあり、両樹とも樹勢盛んである。
 写真38のクロガネモチは、目通り幹囲2.4m、高さ9mで、大きさとしては特筆すべきものではないが、その樹形が特異な形をしている。その形は、高さ1.5mあたりで幹が2つに分かれ、両方とも2m余り伸び、そこから立ち上がっている。樹形としては特異なもので、全国的にも稀に見る奇形である。この形は、約600年前、寺院の火災の際、焼けたため伐られ、そこから横に枝が出て、現在のような形になってきたたようである。
 写真39のモッコクは、全体の地際が3.0m、高さ8mである。それぞれの株は、目通り幹囲1.2m前後である。モッコクはつばき科の樹であまり成長のよい樹ではない。従って、幹囲1mを超えるものは、かなりの年数を経たものと考えることができる。境内には、目通り幹囲1.8m、高さ12mのものもある。
写真40のクスノキは、目通り幹囲4.2m、高さ16mある。このクスノキは幹囲4mを超える大きさをもっているだけでなく、枝を四方に張りめぐらした樹形は、躍動感に溢れ、大きさ以上に威圧感を受ける樹である。境内には目通り幹囲3.7m,高さ18mのものもある。
写真41のケヤキは、目通り幹囲3.2m、高さ14mある。ケヤキの巨木は阿弥陀寺にもあるが、ケヤキの生育にあまり適していないこの地で、これだけの大木にさまで成長できた貴重な樹木である。ケヤキは、建築材として重要な樹であるため、伐採されることが多く、生育に適した山間地でも、これだけのケヤキを見るのは難しく、大切にして欲しい樹木の一つである。

D 奥畑麻生のクロガネモチ

写真42 クロガネモチ 
(もちのき科)

写真42のクロガネモチは、もとは竹薮の中にあった。クロガネモチの樹は、光を求めて周囲の竹よりも高くな
り、これだけの高さになったといわれている。これだけの高さのクロガネモチは、全国的にも珍しく、高さでは日本一といわれている。
目通り幹囲3.6m、高さ31mである。このクロガネモチのある所は、山間の谷間で、しかも竹薮の中であったため、強風から守られ、これだけの大木に成長したものと考えられる。このクロガネモチには、つる性の落葉低木のツルウメモドキ(にしきぎ科)が巻きつき、その茎囲1.4mあり、既知のものでは日本一である。クロガネモチのそばには、この地区の客大明神があり、この樹は客大明神の守り神として、地区の人々に大切にされてきた。現在、まわりの竹がすべて伐られ、乾燥が激しくなったためか、樹の葉が少なくなり、樹勢が弱っているが、是非とも残したい樹木である。

 

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E 久兼・赤山の山下家のイヌマキ

赤山は、久兼入り口の北100mの所を右折し、山間の道を約1.5
km余り上った所である。山下家は、その集落の中央にある。
   写真43のイヌマキは、目通り幹囲1.5m、高さ9mで、巨木とは
いえないが、古木の風格がある。木肌は灰白色で、幹のよじれた状態
が顕著に現れ、これだけでも目を見張るものがある。枝はあまり強く
剪定されていないため、イヌマキの特徴である枝が枝垂れた状態がよ
く現れている。全体としては小振りではあるが、山間の谷間でこれだ
けの大きさなるには、相当な年代を経たイヌマキであると考えられる。

写真43 イヌマキ(まき科)

 

F 防府天満宮
   防府天満宮は、菅原道真を祀った神社で酒垂山(天神山)の山麓に広い敷地を有している。歴史的にも千有余年の歳月があり、樹木も多くのものがあった。その中に多くのクロマツもあったが、昭和年代の「まつくい虫被害」でなくなった。また、他の樹木も周辺開発等で少なくなっている。その中から、現在、特に目立つものを紹介する。

  写真45 クスノキ          写真46 大専坊跡のソテツ
   (くすのき科)           (そてつ科)
写真44 クスノキ
(クスノキ科)

写真44のクスノキは、目通り幹囲5.0m、高さ20mである。この樹は境内の下段の東隅で、防府平野を一番よく見渡せる位置にある。枝は東へ15m、西へ18m伸び、堂々とした姿で、これぞクスノキという風格のある樹である。幹には傷みもなく、樹全体も台風による被害も少なく、樹勢は極めて盛んである。
  写真45のクスノキは、参道の石段横、圓樂坊跡の西隅にある。クスノキのある場所が険しい斜面で、幹囲は測定しにくいが、2本の合着木のようである。目通り幹囲5.7m、高さ20mである。枝は四方へ放射状に出て、幹を中心に直径30m余りの森を作っているような感じのする樹である。写真44のクスノキよりは、幹周りは大きいが、合着木ではないかと考えられるため、樹齢はこちらのほうが若いようである。
  写真46は、大専坊のソテツ群である。ソテツは庭一面に広がり、5ケ所に島のように大きな株を作っている。一番大きな株は、庭の東側にあり、30株余りが集まり、その周囲は17mある。
その中の主幹の幹囲1.6m、高さ6mである。その他にも主幹が1.5mを超えるものもあり、全体に100株前後の株があり、庭一面に広がっている様子は壮観である。

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